休日は神官戦士!

彼女の実力

訓練場の一角で、武具を打ち合う音が響く。かれこれ数分間続いているだろうか。  『私』は多少息が上がってるが、相手はまだまだ余裕のようだ。エルフという種族は、総じて【耐久力】に欠けると聞いていたが、彼女は違うらしい。  加えて、戦い方も厄介だ...
休日は神官戦士!

装備…の前に

『この娘は私の少し年の離れた妹でね、成人したら冒険者になりたいって言ってたのよ。そして先日、貴方のことを話したら、どうしても会いたいって…』  途中から、ルシアの声が言いづらそうに小さくなっていく。調子に乗って話し過ぎてしまったのを、後悔し...
休日は神官戦士!

来客と訪問と…

『お客様、ですか? 私に?』  午前の見習いへの講義中、講義室にやって来たシスター・エレーナが、続けて口を開く。 『ええ、ノイマンさんという方で、先日のお礼をしたいとか。講義は私が行いますから、早く行ってあげなさい?』  名前を聞いて納得す...
休日は神官戦士!

理想と現実(交友関係含む)

修正後の能力値をシャインと見比べてみると、鏡子のキャラの方が有能に見える気がする。…ま、まあシャインは2レベルだし? このくらいはハンデ(?)に丁度いい… 「あ、忘れてた。鏡子…ちゃんは2レベルスタートだね」 「……はいィ!?」  なんか変...
休日は神官戦士!

鏡子の人でなし!(正しい意味で)

「次は職業? どんなのがあるの?」 「職業は4つね。【戦士】と【神官】と【魔術師】と【盗賊】よ」  そう聞くと、鏡子はちょっと首を傾げ、 「それだけ? 歌手とかって無いの?」 「歌手がどうやって冒険するのよ…」  戦闘中に歌でも歌うの? そ...
休日は神官戦士!

鏡子もやるって

「ん~~っ!」  開放感から、両手を横に広げて伸びをする。金曜日のHR後って、他の曜日とは一味違うわよね。  周囲に目を向けると、部活のある子は、それぞれ思い思いの表情を浮かべつつ教室を出ていく。見学は一通りしたけど、特に入りたいクラブって...
休日は神官戦士!

それぞれの学び

宿屋の一室。粗末なテーブルの上に、カゴに入れられたリンゴが一つある。 『これが1。ここにもう一つリンゴを入れると2となる。式で表すと「1+1=2」もしくは「1×2=2」ということだな。分かったか?』  魔術師が、もう一つのリンゴを入れつつ言...
休日は神官戦士!

義務って辛い

「税金だよ、税金!」  龍治が滅多に見せない輝かんばかりの笑顔で言う。…前に見たのはいつだろう、小学校の遠足の時だったかしら(軽い現実逃避) 「………ぜいきん?」  自分では確認できないが、この時の私の表情は「仏頂面」と言う言葉が良く似合う...
休日は神官戦士!

『私』の一日

ふと時計に目を向ける。2時前か…まだ何か出来そうね。と言ってもシナリオが無いんじゃゲームは…あ、そうだ! 「ねぇ龍治、シャイン達の日常を考えてみない? シナリオのヒントになるかもしれないし」  せっかく背景が出来たのだ、存分に使いこんであげ...
休日は神官戦士!

踏み込みが足りない!(設定的な意味で)

出来あがった地図を両手で上にかざす。売ってるRPGの物に比べたら拙い物だが、自分達で作った物だと思うと感慨深い。 「じゃあ次は細かい設定だね。シャイン達の居る街を、この地図のどの辺りにする?」 「ん? 家が有る所でいいんじゃない?」 「中央...
休日は神官戦士!

なるほどザワールド(ツッコミ不可)

レベルアップ作業終了。さあ、シャイン達の新たな冒険の始まりよ! 「じゃあ、始めましょうか。今度はどんな依頼なの?」 「え?」  龍治が意外そうな顔でこっちを見る。 「え…って、ゲームするのよね? 何か問題あるの?」 「うん。というか、何もシ...
休日は神官戦士!

「力」の理由

前言撤回。 「ね、ねぇ龍治?」 「ん、決まった?」  ぐ… 「ちょ、ちょーっとアドバイスが欲しいかな、なんて…」  こっちを見る龍治の視線が痛い。しょうがないじゃない! 神官の1レベル呪文は6種類だけど、魔術師は9種類もあるんだから! 「は...
休日は神官戦士!

日曜日にレベルアップ♪

薄暗がりの部屋の中、魔術師が呪文を唱える声が響く。  戦闘中に使う呪文とは違い、この手の所謂【占術】に分類される呪文は、時間がかかる事が多いらしい。 『私』は黙って「指輪」を付けた右手を、机の上に差し出しつつ待つ。  しばらくすると、魔術師...
休日は神官戦士!

一つの結末

『うわぁ……』  いつもは見上げている雲が下に広がる。その雲に遮られる筈の太陽は、何の妨害も無く頭上で燦々と輝く。そして、視線を前に向けると、大地が緩やかな曲線を描きつつ広がり、その先には水平線となっている。 『お爺ちゃま…これが「世界」な...
休日は神官戦士!

取って置きの贈り物

『どうじゃ、ここに留まらんか? 何不自由ない暮らしを約束するぞ?』  赤竜が更に顔を近づけて言う。 『…申し訳ありません。私は人として、そして光の神の使徒として、人の世界で生きていきたいのです。…どうかご容赦ください』  そう言って頭を下げ...