2020-08

シナリオ終了後、龍治が帰宅した後の加々美家の夕食時。 　何気なくつけているテレビのバラエティー番組の音が流れる中、ふと気づいた私は、対面で同じく食事中の父と母に、やはり何気なく聞いてしまった・・・・・・・。 「うちの貯金って、どのくらいある...

『いま喋ったのは貴様か？』 『はぁ？』 　口に出したら、近くに居たオークが怪訝な顔で反応してきた。…なるほど、そういうことか。 『いや、なんでもない』 『はぁ』 　少し間の抜けたやりとりをした後、改めて意識を魔剣に向けて、声には出さず「聞く...

戦場の中央で対峙する『俺』と領主。ある程度近づくと、領主は馬から降り始める。…ほう？ 『利を捨てるか、領主よ』 　『俺』の問いに、領主は苦々しげに、 『フン、どの道貴様に飛ばれたら無意味なのでな。…下馬する代わりに、飛ばないと約束してくれま...

【闇の砂漠】中央にそびえる【魔王城】、その地下に築かれた地下都市の南端部分に【俺】はオーク軍を率いて訪れていた。 　目の前に広がるのは巨大な魔方陣。そう、これこそは我ら闇の軍勢が地上に攻め込む為に必須なもの。 　全員が魔方陣の上に乗るのを確...

大陸中央に広がる【闇の砂漠】　その中心にある【魔王城】　パッと聞くと「そんな場所で生きられる種族なんていない、それこそ悪魔や不死者だけだ」と思うだろう。だが、それは地上に生きる種族の浅はかな考えだ。 　「地上に」と言ったな。そう、この砂漠の...

「ふふ～ん♪」 　土曜日の昼近く、気分よく宿題をこなす私。向かいでそれを見ていた龍治が、 「楽しそうに宿題する人って珍しいかも」 　と、のたまう。ふーんだ、あとで分かるわよ♪ ・ ・ ・ 　宿題と昼食を済ませ、改めて向き合う。ゲームマスター...

以上、回想終了。というか思い出したら腹立ってきたわね。 「考えたら重要なところ何も決まってないじゃない！　これでどうシナリオ作れっていうのよ！」 　天を仰いで愚痴る。いえね、これでも考えたのよ？ 　まず龍治のキャラの立ち位置なんだけど… ・...

差し出されたＧＭハンドブックから、龍治の脇に積み上げてあるサプリメントに私の視線が自然と移る。え、あれ全部読めってこと…？ 　私の視線に気づいたのか、龍治が慌てて手を振る。 「違うよ！？　あっちは読まなくていいから！　こっち、この一冊だけで...

カリカリと音を立てていたシャープペンの動きが止まる。 　書かれた文章を読み返すと、どうも納得できない。なので消しゴムで消す。もう何度目だろうか… 「…シナリオ考えるのって、結構大変なのね」 　ため息と共に独りごちる。時計に目をやると、現在午...

魔術師の塔の最上階で、塔の持ち主の声が朗々と響く。 　その対面で、右手に嵌めた指輪を差し出す『私』。 　以前にもあった光景だが、あの時とは流れる魔力の質と量が違いすぎる。 　それはそうだろう、今ルシア師が唱えているのは第五位階の呪文【ロア】...

「え～、次は経験点の発表です」 「「わ～～い♪」」 　龍治の言葉に、二人して声を上げる。やっぱりこれが一番楽しみよね。 「まずシナリオクリアで１０００点。宝物の分が一人当たり７１１点で、シャインは商人からの寄付の分で＋１０点。アリシアがハー...

「「おお～～！！」」 　これは、宝物一覧表を見て喜ぶ私と鏡子の声。 「おおぉぉぉ…」 　こっちは、足の痺れが限界に達して悶えてる龍治の声。 「龍っち太っ腹じゃない、ウリウリ♪」 「ああっ！？　今突っつくのはやめてぇ！？」 　うんうん。足が痺...

「「………」」 「どうかな、ゲームマスターハンドブックに載ってたダンジョンを参考にしたんだけど」 　絶句してる私達に、龍治が照れくさそうに言う。 「…なんて言うか、龍っち、えっぐいね」 「あんた、私達を生かして帰す気無かったでしょ」 　と、...

「という訳で、ハーピー達の驚異は未然に防がれる事になりました。お疲れ様」 「「お疲れ様～」」 　龍治の〆の言葉に、疲れた声で返す私と鏡子。 「あ～…本当によかった～【チャーム】の呪文取っておいて」 　鏡子が改めてテーブルに突っ伏す。…でも本...

フーッと溜め息を一つ吐きつつ、領主“剣を極めし者”ログナーが呟く。 『また其方そなたか…』 　人聞きの悪い。それに今回は『私』だけのせいではない。 『まあまあ、領主よ。ハーピー達との全面戦争を防げたと思えば良いではないか』 『そうそう、ログ...