なるほどザワールド(ツッコミ不可)

 レベルアップ作業終了。さあ、シャイン達の新たな冒険の始まりよ!

「じゃあ、始めましょうか。今度はどんな依頼なの?」

「え?」

 龍治が意外そうな顔でこっちを見る。

「え…って、ゲームするのよね? 何か問題あるの?」

「うん。というか、何もシナリオ考えてないんだけど、昨日の今日だし…」

 どうやら龍治は、昨日の後処理だけだと思ってたらしい。

「昨日のも急で、色々シナリオに問題あったしね。出来たら何日か時間欲しいんだけど…」

 昨日の流れを思い出す。土曜の休みで、昼前にお父さんの本棚からドラゴン・ファンタジーを見つけて、龍治を呼んでマスターやってもらって、夕方までゲームした…

「…改めて考えると、我ながら無茶振りもいいところね。龍治、よくゲームマスターできたわね」

 自分だったら、と思うと自信がない。シナリオ途中で破綻してたんじゃないかしら?

「RPGもラノベも好きだからね。想像しやすかったし、自分で設定できる分こっちのほうが好きかも」

 ふむ、どうやら適材だったらしい。…とりあえず今日のゲームは無理か。じゃあ、何をしよう……あ、そういえば

「そうだ、龍治。結局冒険の舞台はどうするの? 昨日言ってたサプリメントのなんちゃら国にするの?」

「正しくはエンゲフェルト公国だけど、まだ何にも決めてないよ? 街の規模くらい?」

 龍治がサプリメントに差し入れられていた地図を出す。ふ~ん、それなら…

「ねぇ、じゃあいっそ私達で作らない?」

「作るって…ゲームの世界を!?」

「えぇ。どうせやるなら、そっちの方が面白そうじゃない♪」

 自分で作れば愛着も湧くし、既製品って使ってみると色々不便だったりするものね。

「お父さーん、ちょっと聞きたいことが…って、あら?」

 お父さんは、読んでたらしい本を脇に落として、スースー寝てた。邪魔しちゃいけないわね…

「龍治ー、お父さん寝てるから静かにねー」

 声量を落として声をかける。龍治も「らじゃー」と小さく返す。ここからは小声で会話してると思って欲しい。

「まず、どこから手をつければいいのかしら? 龍治、ゲームマスターハンドブックに何か書いてない?」

 この手のことがプレイヤーズガイドに書いてあるとは思えない。ゲームマスターの管轄だろう。…別に読むのが面倒なわけじゃないわよ?

「えーと…「地図を作ろう。細かく考えると大抵挫折するから、大まかにね」って書いてある。適当に描く? それともどこかのを使う?」

「実感こもってるわね…ん~、手っ取り早く出来て、それでいて親近感が湧くのがいいから…そうだ、この町にしましょうよ」

 そう言って机の引き出しから幸宮市の地図を出す。産まれてからずっと住んでる町だ、これほど親近感の湧くものはあるまい。

「了解。じゃあ次は…「サイズを決めよう。狭いとつまらないし、大きいと持て余すから、程々に」だって。幸宮市そのままだと小さすぎるから、どのくらいにする?」

 確かにそのまま使うと縦横数kmしかない。あっという間に冒険し尽くしてしまうだろう。…というか竜王の山を置く場所すらない。

「程々に、ねぇ…四国くらい? 本州? オーストラリア…?」

 自分で言いつつ見当がつかない。どのくらいが適当だろう?

「参考までに言うと、エンゲフェルト公国は縦横500kmくらいだね。距離で言うなら、ここから大阪辺りまでかな?」

 ふむふむ、きっとその位が妥当なんだろう。けど…

「竜王との会話で「果てのない世界」って言っちゃったのよね。……よし、ここは敢えて大きくいくわ。ドラゴン・ファンタジーの生まれた国、アメリカ大陸と同じくらいで!」

「うわぁ…まあ、いきなり全部使うわけじゃないから、それでもいいんじゃない?」

 大は小を兼ねる。…いや、ちょっと前に「過ぎたるは猶及ばざるが如し」って言った気もするけど。 

「次は…「気候と地形を当てはめよう。砂漠の隣に森林とか不自然なことは…ん? 魔法の一言で済むな(笑)まあ適当に」」

「…ルールブックがぶれてていいの? えーと…気候は北は寒くて南は暑い、でいいかしら。慣れてるし」

 南半球の人がこのゲームやったら、多分逆になるのかしらね。

「地形は…まず山よね? ん~……あ、この真ん中走ってる高速道路、これ山脈でいいんじゃない?」

 幸宮市の南西から北東に抜けていく高速道路。中央山脈にぴったりである。

「なるほど。…でも、このままだとちょっと細くない?」

 む、確かにこの幅だと山というより壁になってしまう。

「じゃあ、ここら辺まで全部山にして…」

 と言いつつサラサラと記入する。え、怒られないかって? 中学の時に使ってた資料だから、へーきへーき。

「周囲は全部海よね? えーと、松倉川をここから海まで伸ばして…中央山脈だけじゃ寂しいから、こっちにも山脈置いて…あ、現権堂の桜堤は大森林が似合うわね…」

 思いつくまま書き込んでいく。…平地の方が少なくなった気がする。まあいいか、中世だし(意味不明)

「真ん中は…いっそ砂漠でいいかしら? 何かヤバイ奴が居るんでしょ、きっと」

「人類大変だなぁ…」

 苦労は買ってでもしろって言うし、どうせ平和だと人間同士で戦争するんだから(偏見)、脅威があったほうがいいでしょ。

「出来たわ! これがシャインの冒険の舞台、幸宮の幸から取って「フォーチューン大陸」よ!」

「どこから突っ込んだらいいか分からない、ってこういう時のことを言うんだね…」

 む、別にいいじゃない。二人で使うものなんだから。