『私』ってどんな娘?

「じゃあ真輝ちゃんを作るという事で…なんかやらしく聞こえるね」

「なに考えてんのよ!?」

 赤くなった龍治に突っ込む。

「いたた…えーと、まずは種族からだね。…真輝ちゃんって人間?」

「真顔で聞く事かーっ!?」

 今日最大級の突っ込みが龍治に炸裂した。

「人間よ! に・ん・げ・ん! 女の子! 15歳! ドゥーユーアンダスタン!?」

「ご、ごめん。他の種族がやりたいかと思って…」

「なら、そういう風に聞きなさいよ…」

 脱力しつつキャラクターシートに記入していく。手順では、次に各能力値をサイコロ3個の合計で決める事になっている。ちなみに人間の平均は10である。

「能力値だけど、真輝ちゃんに合わせるんならサイコロいらないね。まず【筋力】はいくつにする?」

「筋力か…女の子にとっては悩み所よね」

 ゲーム的には高い方がいいんだろうけど、ガチムチマッスルな自分と言うのはあまり想像したくない。

「この前の体力測定で、ほとんどが平均よりちょっと上だったから11~13くらいかな?」

「真輝ちゃんって、帰宅部なのにそこらの運動部の子よりも体力あるよね」

 そうだけど、特に自分でトレーニングとかはしていない。朝夕のラジオ体操とジョギング、体育の授業をしっかりこなすくらいだろうか。あ、あと変な食事制限をしない事かな? 食べるの我慢するくらいだったら動いた方がいいわよね。

「間を取って12でいいかしら、+修正も付くし。…次は【知力】ね」

「真輝ちゃんはどの教科も成績いいから、ちょっと羨ましい」

「龍治だって数学と理科は私よりいいじゃない、他はともかく」

「「他」の教科が多いんだけど…」

 がんばれ、としか言えない。

「と言っても、うちの学校って進学校じゃないから全体で見たら大したことないわよ。これも12で良いかな?」

「上には上がいるんだね…次は【信仰心】だけど」

 現実になじみの薄い能力に、私は首を傾げる。

「これがよく分かんないのよね。これが高いとどうなるの?」

「えーと…魔法を掛けられた時の抵抗力が高くなったり、神官だと呪文の回数にボーナスが付くらしいよ」

「ふーん、要するに意志の強さってことかしら。だとすると、私はどのくらいだろう?」

 龍治が何やら遠い目をしながらつぶやく。

「真輝ちゃんはかなり高いと思うよ。うん、真輝ちゃんの意志の力が低いはずが無い」

「あんた、私の事どう見てるのよ…」

 龍治の一存で、私の信仰心は16に決まった。解せぬ。

「次は【敏捷性】ね。これも12くらいで…」

 私の言葉を、龍治が哀しみを孕んだ眼でこちらを見つつ遮る。

「真輝ちゃん…このゲームの【敏捷性】って、手先の器用さも兼ねてるみたいなんだ」

「…え?」

 龍治の言葉に私は凍りつく。

「そ、それって…」

「うん、僕は真輝ちゃんを知ってる。料理も編み物もすっごく苦手なこと…」

「いやぁぁぁぁ! 言わないでぇぇぇ!」

 私が悪いんじゃないの! 料理も編み物もマニュアル通りにちゃんと作ってるの! なぜか結果が伴わないだけで!

「言葉通りの敏捷性と言うなら、真輝ちゃんは13…いや、15くらいあるかもしれない。でも器用さって言われると…」

「5…ひょっとすると4かも知れないわね、間違っても8とか言えないわ」

 自己評価に悲しくなる。

「ここは13と5の平均で9と言う事でどう? 大丈夫だよ、きっとこれから上達するから」

「うん。…ありがとう、龍治」

 4と言わなかった龍治の優しさに、目頭が熱くなった。

 次の【耐久力】はサクッと10に決まった。病気知らずってほど健康でもないし、大病を患ったことも無い。お酒に強いかどうかなんて聞かれても、飲んだ事無いので分からないからだ。

 そして…

「ついに来たわね。ここが最後の、そして最大の山場よ!」

「あの、真輝ちゃん? このゲームの【魅力】って外見だけの事じゃなくて、人としての総合的なものらしいよ?」

 それは分かってる、ルールブックも読んだし。でも魅力という単語をサラッと流せる女性が居るだろうか、いや居ない。

「さあ龍治! あんたの目から見て私の魅力はどう!?」

 ストレートロングの髪をサラッと流し、斜め45度の角度に決めて龍治に問う。

「えっと…じゅうい、…2?」

「なによ! その「11じゃかわいそうだから12」みたいな言い方!?」

 失礼極まりない。普通に「10」と言われるよりも腹が立つ。

「で、でも僕が可愛いと思うのと、世間一般で可愛いというのは違うと思うし…」

「ここにはあんたと私しか居ないでしょ!? 世間なんて気にしないで、あんたの思う所を言えばいいのよ!」

「う、うん」

 うなずくと、龍治は改めて私を上から下まで見回す。…ちょっと恥ずかしい。

「…じゅう、4?」

 上目遣いで龍治を睨む。

「…16?」

「…もう一声」

 龍治が溜め息をしてから言う。

「はぁ、わかったよ。【魅力】は18と言う事で」

 よし。というか女心が分かってない。男だったら「真輝ちゃんは僕にとってずっと魅力18だよ」くらい言ってもいいんじゃないだろうか。

 何はともあれ、こうして『私』の能力値が決定した。

筋力 :12(+1)

知力 :12(+1)

信仰心:16(+3)

敏捷性: 9(±0)

耐久力:10(±0)

魅力 :18(+4)